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本田圭佑のことを知りたければ『Sports Graphic Number』を読め。
正確には、本田圭佑の発する言葉を知りたければ『Sports Graphic Number』を読め、である。
なぜならば、本田は、そうやすやすとインタビューに応じないからである。 (「まったくしゃべらへんなんていうのは少しもなくて、オレから聞き出してくれということですよ。メディアもプロとして、オレが答えたくなるような質問をしてくれということですよ。常にフィフティー・フィフティーでいたいんですよね。オレがプレゼントするんじゃ、そっちは高まらない」No.760 2010年9月2日号)
バラエティ番組で愛想を振りまくことも良しとしないからである。 (「サッカーを知っている人と話すっていうのはいいんですけども、サッカーとは違う世界の人との出演オファーが来ると、オレはどのレベルで会話をすればいいのかと思ってしまう。タレントさんに質問されて、オレはどうすればいいのか。そんな気を遣って仕事なんてしたくないから。出るなら、常にガチで話したいから」No.782 2011年8月4日号)
これはスポーツ選手に限った話ではないが、簡単に喋らない、やみくもに露出しないというのはカリスマ性を高める手法にもなり得る。
スポーツ選手でその代表はニューヨーク・ヤンキースのイチローであろう。 ここ数年、“年末の風物詩”として定着した感のあるNHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』での独占インタビュー。 そこでイチローは饒舌に語る。 シーズン中の取材対応、記者が書いた記事では本意が伝わっていないとでも言うように。 (本田も2013年3月25日放送の同番組にて『さらなる進化へ 本田圭佑・500日の記録』という特集が組まれているが)
そう、実はイチローの場合はシーズン中にも十分語っているのである。試合後の囲み取材も欠かすことはない。 野球とサッカーの取材慣行の違いも考慮に入れねばなるまい。 本人のプリンシプルによるところもあるだろう。
しかし、日本サッカー界のスーパースター・本田は語らない。
きょう3月4日付の日刊スポーツ。 「伊で不要論過熱 本田は大丈夫なのか」と見出しがつけられた記事中にも“取材エリアをいつも通り無言で通り過ぎた本田に”とある。 いつも通り。 取材に応じないことがデフォルトであり、試合後のミックスゾーンでの対応が10分も超えれば「今日は長い」と報道陣に驚かれるほどである。
それでもNumberには語る。
2006年冬の初登場から直近の2014年冬までに、掲載のべ39回、うち表紙を飾ること18回。 2010年の南アフリカW杯開催中には、隔週発売のスケジュールを崩し、3号も増刊で発行しサッカーファンの声に応えた。 その姿勢、作り手の魂、そして雑誌のカラーがそもそもサムライブルーと相性がいい。
南アW杯以降はスポーツライターの木崎伸也氏が、“本田気狂い”と言っても過言ではないほどの熱度で専属ライターを務めている。 対本田の取材の内幕は、一筋縄ではいかないらしい。 (「今回はしゃべらんから。企画がしょうもなさすぎる。オレである理由がまったく見えない。これでインタビューを取ろうなんて甘い。『Number』の編集長に言っといて。オレが納得する企画を持って来い、と」No.800 2012年4月5日号)
1対1の個の勝負にこだわり相手の守備網をこじあける被取材者の如く、木崎氏は執念で突破口を探り、インタビューをものしてきた。 時にたしなめられながら。 (「ナンバーからお金もらいすぎでしょ(笑)。もっと幅広くやらんと」No.806 2012年7月5日号) 時に呆れられながら。 (「今回は何?また『Number』?この前、来たばかりでしょ(笑)」No.819 2013年1月10日号)
その他の著者も同様だ。 猪狩真一、近藤篤、戸塚啓、豊福晋、小宮良之、細江克弥、田邊雅之、岩水大樹、杉山茂樹、金子達仁、川内イオ、佐藤俊…。 本田と向き合い、『Number』誌上で本田を綴った計13人の書き手がいる。
『Number』誌上で“聞いた”本田の言葉から、著者が選ぶベスト20(順不同)を昔から遡ってここに並べたい。
①「夢にも出てくるんですよ。自分がいろんなユニホームを着て、試合してるんです。名門チームで、しかも結構似合っている(笑)。確かに、今年からピクシーが来るとか聞いたし、北京五輪があるから日本にいた方がいいとかいろんなことを言われたけど、何で他人がオレの道を決めんねんって思ってた。自分の道は自分が決めるっていうことです」(No.702 2008年5月8日号)
②「僕はどちらかというと何でも自分で処理できるタイプなんで。男なんで、一人なんでね。そうやって勝負していくべきやし、それがオレの美学なんで。確かに奥さんとかいつでも横にいてくれて、いつでも弱音を吐いて欲しいとか言ってくれたとしても、それは男としてするべきじゃなくて。オレの美学では。戦場に奥さんは連れて行けないし」(No.732 2009年7月16日号)
③「日本メディアのレベルも上げるために、僕は話し続けなければならないんです」(No.743 743 2009年12月24日号)
④「オレのサッカー人生で、まさか2部でプレーすることがあるなんて、今でこそ笑い話ですけど、その時はマジでショックで、屈辱的な思いでいっぱいでしたね。オファーがなかったんですよ。それなりにやった自負もあったのに。ということは、オレのイメージしてるモノと、上のチームが求めているモノとの間にギャップがあったわけですよ。良いプレーをしたことになっていなかった。それを現実として突きつけられて、正直、焦ったわけですよ。ちょうど2年前の話ですけれど。22歳で2部。それなのに僕はW杯優勝を目指している。レアル・マドリーでプレーする目標を立てている。どう考えても辿り着かないと思うのが普通でしょ。でも何とかしたい。そこでまず、自分の過去を否定したんです。今までのプライドを含め、すべてを変えようとした。名古屋グランパスや星稜高校には失礼やけど、過去をすべて間違っていたものとした。意味がなかったことにした。とりあえずゼロから始めようとした。で、どうするんやと考えた時、点を取りに行くスタイルを確立することを思いついた。そのためにはまず、メンタルを改造する必要がある。綺麗事じゃダメだと自分の頭を洗脳することから始めた。でもやっぱり、今までのプライドとかポリシーが邪魔をする。とりあえずそんなのいいからと、自分が間違っていたことにした。では点を取るためにはどうすればいいか。前に走らないといけない。基本ですよね。超基本。ボールを出したらすぐに前へダッシュした。誰かがシュートを打ったら、GKが絶対にはじくと思って詰めるとかね。ごく当たり前のことを毎日繰り返し練習した。するとだんだん脳が洗脳されていくんですよ。でも、過去の自分が不意に出る。打てばいい所でパスしたりとか。洗脳するまで時間が掛かった。2部リーグで決めた初ゴールは、7、8試合目だったと思う。それが洗脳するのに掛かった時間ですが、その作業が一番難しかった。なにせ敵は自分の中に潜んでいるんだから」(No.753 2010年5月20日号)
⑤「世界の津々浦々の人に親しまれている名前。HONDAさんには本当に感謝してます。今クルマ産業は大変な時代なので、今後のHONDAは僕が支えていきますよ。まさにHONDAを超える存在になりたいと思います」(No.753 2010年5月20日号)
⑥「パラグアイ人でも日本人でもなければ、見てない試合でした」(No.760 2010年9月2日号)
⑦「まぁ、やってることはみんなとあまり変わらないんだけどね。結局、みんなが嫌がることを我慢してできるかどうかなんですよ。オレはスーパーマンでもなんでもない。ただみんなが嫌なこともやれるし、夢のためにやりたいことも我慢できる。それを本当に徹底していて、あとは人よりも思いがちょっと強いだけ。その差が結果に表れたりするのですよ」(No.783 2011年8月4日号)
⑧「オレは子供の頃のイメージを大切にしている。自分が子供のときってどんな人がカッコよかったのかなって考えるわけですよ。そのカッコよかった人を実践したい。今の大人になった自分で。サッカー選手っていうのは、カッコつけなきゃあかんのですよ。カッコつけて当たり前。カッコつけることに慣れなあかん。それが普通になればいいのですよ。僕なんていうのはカッコつけることが当たり前になっていますから。だって毎日、すぐそこにカメラがあると思って生活していますから。サッカー選手は、カッコよく振る舞うことを人格にしないと。極端に言うと、僕の場合、無理をして先に人格を作っちゃうんですよね。ヒーローとしての人格を作って普段からそう振る舞うようにする。それを続けていたら、自分の本物と重なるんですよ。作った人格が、本当の人格になるんです。そうしたらホンマにカッコイイ本田圭佑ができあがるんですよ。だから一日一日が本当に大切になってくるんです」(No.783 2011年8月4日号)
⑨「ぶつかると言うけど、人それぞれ意見が違うっていうのは当たり前の話だから。そもそも意見が一緒なんていうことはありえへん。考え方が違うからこそ、そこで一番いい方法を話し合って決めるわけでしょ。衝突でも何でもない。『ほぅ、あなたはそういう考え方なん?でも、オレはこういう考え方なんや』って。どうするのがベストなんかなっていう話なだけやから」(No.795 2012年1月26日号)
⑩「オレの考え方として、あえて貫いているところは古い部分であったりするし、と同時に、今後サッカー界が何を求めて、どういう方向に進んでいくかというのも取り入れる。古典的なモノを残した上で、モダンなサッカーを追い求めていくということ。だって、モダンなサッカーだけを追い求めても、サッカーが面白くない。それだったらサッカーを辞めた方がいいかなと思う」(No.806 2012年7月5日号)
⑪「オレはみんなを信じるよ。信じている前提で言うけど、もしそれでもみんなが成長できないのであれば、オレがみんなの分、成長すればいいなと思っている」(No.806 2012年7月5日号)
⑫「目標を明確にイメージできたら、それを実現する作業の半分は終わっている。(中略)。残り半分は努力できるかどうかってところにかかっているから。自分が努力できるっていうのは、誰よりも知っている。だからイメージできたら、ほぼ成功。50%というよりも、それ以上だね」(No.815 2012年11月8日)
⑬「オレが変わろうとしている時っていうのは、何でもポジティブにやるからさ。ネガティブな要素をどうやってかき消すかということに集中して、良いところだけを見ようとして前に進んでいかないと。未来のことなんていうのは誰にも分からない中で、信念だけが支えになる…でしょう?必ずきっとうまくいくっていうことを信じて努力するわけなので」(No.819 2013年1月10日号)
⑭「サプライズは自分の性格の一部。身近な人間であればあるほど、驚かすことにこだわっている。例えば家族に対して、毎回サプライズを与えたりしているよ。父親にだったら、『自分の息子はこういう人格だ』って思っている上を常に行きたいって思っているし。『いつまで経っても読めへん』というのは、最高の褒め言葉。それをトライしているわけやから。慣れられたくない。飽きられそうだし。自分が生きている間は、ジャーナリストが追いかけてくる状態じゃないと(笑)」(No.819 2013年1月10日号)
⑮「人間・本田圭佑を、どうやってプレーで表現するか。それが課題として出てきた。(中略)。サッカー選手と話すと、プレーと性格が全然違うやん!っていう人がたくさんいるよね。でも、あくまで自分の考えだけど、それやったら自分はあかんと思ってる。それだとサッカーで頑張って、みんなにオレっていうモノを伝えてる意味がないかな、って思うところがあって。(中略)。今後、2013年、2014年が終わって、こういう風に本田圭佑が変わったよねっていう評価と、オレが望んでいるモノが同じであれば・・・。そうしたら、人間・本田圭佑を実際のプレーに近づけられたんやなって感じると思う」(No.819 2013年1月10日号)
⑯「人間って、気が緩んでないと自分では思っていても、気が緩んでいるものだと思うんです。それをどうやって引き締めるかといったら、もうくどいほど、自問自答するしかないと思っているんですね。大丈夫かと。準備ちゃんとできているかと。くどいほどやれるかどうかが僕はキーポイントだと思っている」(No.830 2013年6月27日号)
⑰「自信の差がそのまんまイコール格になる。イタリアはあんなにバテていても、日本に勝ってしまう。その負けられないというプライドが、相手を打ち負かす力になる。僕らはとりあえず練習でやったことを100%出そうってやっているけれど、結局勝ち方が分からない。一生懸命やっているし、いいサッカーもしているし、相手を圧倒しているんだけど、3-3の状況で点を決めることができない。それが格の差なんです」(No.831 2013年7月11日号)
⑱「僕がビッグクラブに行けば、計り知れない成長が待っていると思います。僕は特に“環境先行型”ですから。自分よりもレベルが高いところでやることで、いろんなものを吸収して、今ここにいる」(No.838 2013年10月17日号)
⑲「現代サッカーはスケジュールがハードだからね。良い選手か、良い選手じゃないかっていうのは、クオリティじゃなくてコンディションの方がプライオリティが高くなって来ているんじゃないかっていうのはすごく感じる。メッシやクリスチャーノ(・ロナルド)でさえも、良いコンディションを常に維持しているしね。オレはクオリティよりもコンディションが優先される時代になったと思う」(No.831 2013年7月11日号)
⑳「力が上の相手を倒すには、勘違いが必要なんですよ。波乱を巻き起こすには、誰かが『あ、今日もしかしたら行けるかも?』っていう勘違いを芽生えさせなければならない」(No.844 2014年1月16日号)
本田が発する言葉は、必ずしも他者とのコミュニケーションのためではない。 (「口で発することって、自分に通じている部分がある。何を言うかって非常に重要。オレはメディアにしゃべっていることって、自分に話しているということがほとんどやから。あとは公言的なところがあって、『言っちゃったよ』みたいな。自分は弱いからさ。当たり前だけど、人間やから」No.760 2010年9月2日号)
それでも、他者には自分に用意されたかのように響くこともある。 「W杯優勝」は既に日本代表内では意思統一された目標になり、“信じてみようか”と考える人も少なくとも南アW杯前に比べると増えているだろう。
日本代表候補の高橋秀人(東京)は、本田のプレー、言葉に表れる揺るぎない信念を信奉する一人だ。 同僚が抱く以下の認識は、おおよそ正解であろう。 (「圭佑さんの記事にもよく目を通すんですけど、カギカッコの中の言葉が他の選手とはかけ離れている。カギカッコって本人の言葉を引用しているわけだから、脚色されていないと思って鵜呑みにしてますけど、2ランクぐらいレベルが高いと感じます。そんなことを考えているんだ、っていうことが多い」No.829 2013年6月13日号)
本田の影響かは定かではないが、“言葉の強さ・力”を今一度見直し、ファンへのアピールにつなげようというJリーグの試みも明らかになった。 お立ち台で「応援よろしく」ダメ Jリーグが意識改革 - 朝日新聞デジタル (http://www.asahi.com ) http://t.asahi.com/e3wb
ヒーローインタビューを想定しての新人研修での一コマである。(ちなみにプロ野球界で最もヒーローインタビューの受け答えが上手いのは、西武ライオンズのチームリーダー・栗山巧である) 「応援よろしく」を「締めくくりにもってこいの便利な言葉だが、気持ちがこもっていないことが多い」と見透かし、「たまたまです」を「謙遜ではなく、自分の言葉で語ることを放棄しているだけ」と断じる。 私も新卒で入社したスポーツ新聞社の研修で“紋切り型表現”の使用を「無味無臭。面白みの欠如。考えることの放棄」であることから度々禁じられた。
自分の頭で考えろ。そして自分の言葉で語れ。 本田に限らず、トップアスリートの言葉は力を持つ。
トップアスリートへの敬意、憧憬は、何もパフォーマンスにだけ向けられるわけではないのである。
とりわけ今一番注目したいのはやはり、関西人気質で、サプライズを好むやんちゃで茶目っ気のある、人間臭い本田の言葉なのである。
※掲載号と当時の所属チーム No.667:名古屋グランパス(日本)―1回 No.702、709&710、730、732、737、743、744:VVVフェンロー(オランダ)―7回 No.748、753、755&756、757、週刊文春 2010年6/25臨時増刊号、2010年6/29臨時増刊号、2010年7/6臨時増刊号、No.760、765、769、772、775、783、787、795、800、806、Number PLUS 2012年9月7日発売号、No.815、818、819、823、826、829、830、831、838、842、844:CSKAモスクワ(ロシア)―29回 No.845、847:ACミラン(イタリア)―2回
by qq7877pd
| 2014-03-04 23:42
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